福岡は日本で最も手軽な食の玄関口です。空港は中心街からわずか5キロほどですが、ほとんどの旅行者はそこから先へ出ようとしません。それはもったいないことです。九州には、この国屈指の正統派の寿司、独自の温泉料理、そしてほかでは出会えない名物がそろっており、そのほぼすべてに電車で行けます。ここでは、もう一歩先へ進む一週間を紹介します。
1〜2日目 — 玄関口、福岡
到着したら荷物を置き、その晩から食べに出ましょう。福岡の屋台は、午後6時ごろになると中洲の川沿いや天神の街角に明かりをともします。とんこつラーメン、焼き鳥など、品数も豊富です。この街には、前もって計画する人のための本格的な寿司もあります——海味(うみ)の系譜で紹介している、青山「海味」の流れを汲むカウンターもそのひとつです。屋台は予約なしでふらりと座るもので、席は8席ほど、支払いは現金、予算は一人¥2,000〜3,000です(2026年7月時点)。屋台の作法も含めた最初の区間の詳しいプランは九州食の旅の玄関口・福岡に、予約の手順は福岡の飲食店予約ガイドにまとめています。
3日目 — 正統派のカウンター、唐津
福岡市地下鉄空港線から直通する電車で、乗り換えなしに約80分で唐津に着きます。玄界灘に面し、焼き物で名高い城下町です。ここを訪れる理由は鮨処つく田。七席のカウンターで、玄界灘の魚に江戸前の仕事を施し、地元の窯元の器で供します。予約は早めに。決まった解禁日は公表されておらず、夜は2〜3か月先まで埋まります。窓口は日本語のみで、営業中はつながりにくい電話、一休のリクエスト予約、店のLINEのいずれかです。カウンターに入れなくても、唐津は一日を過ごす価値があります。近くの呼子では朝のイカ釣り船が揚げたイカが透きとおった活き造りで供され、午後は窯元めぐりで過ごせます。
4〜5日目 — 南へ、熊本へ
博多まで戻り、九州新幹線で南へ約40分で熊本です。名物は馬刺し。薄く切り、にんにく・生姜・醤油でいただきます。市内の居酒屋のあちこちで出会える正真正銘の地元の誇りで、盛り合わせは¥1,500〜3,000ほどからです。昼の見どころは熊本城。2016年の地震で被災した天守閣は2021年に公開が再開され、ほかの部分の修復は今も続いています。
地元の人が実際に通うのが五郎八(いろは)です。ほぼ毎晩予約で埋まるので、数週間前に電話してください。熊本は、天草の魚が名だたる鮨カウンターに届く街でもあり、阿蘇を越えて由布院、別府、そして大分のふぐとすっぽんの店へ向かう東への道の起点でもあります。九州のこちら側には専用のガイドがあります——熊本・大分食ガイド。
6〜7日目 — 締めくくりはお好みで
- 東へ別府 — 温泉と、湯けむりの町の割烹へ。特急ソニックで博多から別府まで約2時間。廣門は、温泉町の日本料理がどこまで洗練されうるかを見せてくれます。臼杵のふぐ、安心院のすっぽん、中津の鱧——大分のそのほかの味は熊本・大分食ガイドにまとめました。
- さらに南の鹿児島へ — 新幹線でさらに45分。活火山を望む湾の魚に江戸前の仕事を施す鮨匠のむらへ。
- 西へ長崎 — 卓袱(しっぽく)料理へ。和・華・蘭の文化が交わるこの街の宴席料理を、大皿から取り分けて味わいます。舞台は、1642年に開かれた花街の茶屋の地に建つ、長崎を代表する料亭花月です。長崎は二泊する価値があります——詳しくは下で。
- 福岡へ戻る — 島を横断して食べ歩いたあと、福岡から帰路へ。
もう二日——長崎と島原半島
長崎へは博多から武雄温泉で西九州新幹線に乗り継いで約1時間半。一泊ではなく二泊したい街です。
花月と並ぶもう一つの卓袱の名店が料亭 一力です。1813年から寺町通りで卓袱を出してきた、店によれば長崎最古の料亭で、幕末には坂本龍馬らがこの座敷で卓を囲み、国の行く末を論じたと伝わります。すべて個室で、どのコースも2名から。2週間ほど前に電話かメールで申し込めば、たいてい席が取れます。昼のコースは13,200円から、昼限定の「姫重しっぽく」——卓袱の要所を漆の重箱に詰めたもの——は6,050円。昼は現金のみです。
もう一晩は堂山へ。2019年、ミシュランガイドが初めて長崎を取り上げたときに二つ星を付けたカウンターで、鍛冶屋町に十席。店主が一人で料理し、奥様が客席を切り盛りしています。長崎の魚と牛肉のコース一本で、最後は対馬の穴子ご飯で締めくくります。予約は日本語の電話のみで、1か月ほど前に候補日を二つ三つ用意してかけてください。支払いは現金のみです。
車があれば、市の東の島原半島で雲仙の温泉とvilla del nidoにも足を延ばせます。国見にある八席のイタリアンで、ピエモンテで修業したシェフが地元の食材で料理します。昼は木・金、夜は土〜月で、いずれも一斉スタートです。毎月最初の営業日に翌々月末までの予約が始まり、それより先の日程はポケットコンシェルジュのキャンセル待ちに登録します。半島からは有明海を渡って熊本へ向かうフェリーが出ているので、島原は長崎と九州南部をつなぐ橋渡しにもなります。
現実的な回り方
この旅は、ほぼすべて鉄道で完結します。福岡から唐津、そして熊本へ、長い区間は新幹線が担います。本当に予約が難しいのは、2〜3か月先まで埋まるつく田の七席、福岡の人気の寿司店、そして毎月ネットで解禁される別府の廣門。島原半島へ足を延ばすなら、毎月解禁のvilla del nidoも加わります。堂山は日本語の電話で1か月ほど前、料亭は1〜2週間前の連絡が目安で、あとは予約なしで楽しめる店がほとんどです。ご希望の日程をお知らせいただければ、カウンターの予約の時機を合わせ、列車の乗り継ぎまで組み立てます。その合間の食事は、自然と楽しめるはずです。


