いづうは天明元年(1781年)の創業以来、ほぼ一つのことだけを貫いてきました。元祖とされる鯖姿寿司、鯖の押し寿司です。二百四十年余りを経た今も変わらず、この店は基準点であり続けています。海から遠く離れた地に、京都独自の寿司をもたらした店なのです。
いただくもの
若狭から鯖街道を通って内陸へと運ばれた塩鯖を、酢飯とともに締め、一切れずつ、広い昆布の一枚で包み込みます。昆布は飾りではなく手法そのもの。味を含ませ、保存を助け、卓上でめくって供されます。仕上がりは、密で、澄んでいて、まぎれもなく古都のもの。魚河岸を持たぬ土地のために築かれた寿司です。
なぜ歴史をこえて旅するのか
これは京料理を形づくった料理の一つであり、祇園でこれを味わうことは、献立とその起源との隔たりを一気に縮めてくれます。小さな座敷に腰を落ち着けても、折詰を提げて帰っても、いずれにせよ冷蔵の時代に先立ち、必要を都の象徴へと変えた技を味わうことになります。発明そのものを口にできる店は、世界を見渡してもごくわずかです。
こんな方へ
ものの来し方を大切にする方 — そして京寿司の現代的な解釈ではなく、その原点となった一皿を求める方へ。



