日本の飲食店の厨房では、小麦が料理そのものであることはあまりありません。小麦は味付けの一部です。ほぼすべてのたれに入る醤油の中に、多くの味噌の中に、天ぷらの衣の中に、そして澄まし汁に浮かぶ小さな丸い麩の中にあります。そのため、日本はご飯中心のメニューから受ける印象よりも、グルテンフリーの方にとって難しい場所です。そして、食事の前に伝えることが、席で伝えるどんなことよりも大切になります。
当社のグループは東京で飲食店の運営に携わっており、この記事は厨房の側から書いています。小麦と大麦が実際にどこに入っているか、どの食事なら変えられるか、そして正直な答えが返ってくるように尋ねるにはどうすればよいかをまとめました。
日本の食べ物のどこに小麦が隠れているのでしょうか?
グルテンは、小麦、大麦、ライ麦の三つの穀物に含まれています。日本料理でライ麦が使われることはほとんどありません。小麦と大麦は、次のようなところに入っています。
- 醤油。 日本農林規格(JAS)では、最も一般的なこいくちは、大豆とほぼ同量の小麦から醸造されます。うすくちも同じで、小麦グルテンを加えることもあります。醤油はつけだれ、焼き魚や焼き鳥の照り、煮物、丼もの、そして多くの寿司に塗る醤油ベースのたれに使われます。
- たまり醤油。 グルテンフリーの代わりとしてよく勧められますが、同じ規格では、大豆、または大豆に少量の小麦を加えたものから作る醤油と定められています。小麦不使用で、そう表示されたたまり醤油もあれば、そうでないものもあります。色の淡い白醤油は見た目と逆で、主に小麦から作られています。
- 味噌。 味噌の規格は、米味噌、豆味噌と並んで、大麦麹で作る麦味噌を定めています。厨房ではそれを「大麦」とは意識せずに、いずれか一つ、または合わせ味噌を使っていることがあります。
- 衣とパン粉。 天ぷらの衣は小麦粉です。とんかつなどの揚げ物は、小麦のパン粉をまぶしています。
- 麩。 小麦グルテンそのものを成形し、乾燥させたもの、または生のもので、澄まし汁、煮物、菓子に使われます。特に京都や精進料理でよく使われます。
- 麺と餃子。 うどん、ラーメン、餃子の皮は小麦です。ほとんどのそばは、つなぎに小麦を使っています。
- 麦茶。 焙煎した大麦のお茶、麦茶は、多くの飲食店が何も聞かずに出してくれます。
- カレーとソース。 日本のカレールーや多くの市販のソースは、小麦粉でとろみをつけています。
手配しやすい日本料理、難しい日本料理は?
厨房からの目安は、どの食事制限でも同じです。味付けが後になるほど、変えやすくなります。 最後に加える塩なら、醤油の代わりにできます。朝から煮込んでいるだしは、変えられません。
| 形式 | 小麦・大麦がふつう入っているところ | 対応のしやすさ |
|---|---|---|
| 刺身 | 別添えの醤油 | しやすい——醤油を使わないか、店が了承すれば小麦不使用の醤油を持参する |
| 塩で焼いた魚や鶏(塩焼き、塩) | 醤油の照りを加えた場合のみ | しやすい——塩だけで、と頼む |
| 寿司 | 一部のネタに塗る醤油ベースのたれ。鰻の甘いたれ。漬けにした魚 | 事前に伝えれば可能——どのネタにもたれを塗らないよう頼む |
| 天ぷら | 衣。つけだれ | 難しい——衣が料理そのもので、油も共用 |
| 懐石 | 多くの料理に醤油や味噌。麩。天ぷらの一品 | 難しい——事前の連絡があれば可能だが、すべての店でできるわけではない |
| そば | 多くの麺のつなぎの小麦。醤油ベースのつけだれ。共用のゆで湯 | 難しい——慎重に尋ねる |
| ラーメン、うどん、餃子 | 小麦の麺と皮。醤油や味噌のスープ | 難しい |
| 焼鳥 | 醤油ベースのたれ | 可能——塩で頼み、たれの串と焼き台が共用かどうかを尋ねる |
飲食店の厨房では実際に何が起きているのでしょうか?
飲食店の厨房でよく見る3つのことです。早めに伝えていただくようお願いしているのはこのためです。
コースはお客様が来る前に仕込まれています。 寿司のおまかせや懐石のようなコースの店では、だし、たれ、煮物は、その晩に予約しているすべてのお客様のために朝のうちに作られます。席に着いてからの依頼では、すでに味付けした料理から醤油を抜くことはできません。同じ依頼でも予約時であれば可能です。料理人が別の料理を考えたり、味付けの前にお客様の分を取り分けたりできるからです。
フライヤーと鍋は共用です。 日本の多くの飲食店には、フライヤーが一台、湯を沸かす鍋が一つしかありません。天ぷら、カツ、そのほか衣をつけたものはすべて同じ油で揚げます。そば屋では、十割そばが小麦の麺と同じ湯でゆでられることがよくあり、最後に出されるそば湯もその鍋から注がれます。微量の接触が問題になる場合は、そう伝えてください。そして、多くの店がそれは防げないと正直に答えることを想定しておいてください。
「グルテン」は「小麦粉」と受け取られます。 多くの料理人は「グルテン」を小麦粉や衣のことだと理解し、醤油、味噌、麦茶までは思い浮かべません。言葉ではなく、食材の名前を伝えてください。
たまり醤油を頼んだり、醤油を持ち込んだりできますか?
尋ねることはできますが、答えは店によって違います。小麦不使用の醤油を置いている店は少なく、前述のとおり、たまり醤油も小麦不使用とは限りません。より現実的なのは、小麦不使用の醤油を小瓶で持参し、予約時に席で使ってよいかを尋ねる方法であることが多いです。了承してくれる店もあれば、特に料理人が一貫ずつ味付けをする店では、断られることもあります。当日のカウンターではなく、前もって尋ねてください。
日本の飲食店にはどう伝えればよいですか?
予約時に店に伝えてください。消費者庁は、外食・中食のアレルゲン表示は義務ではなく、各事業者が任意に取り組むものだとしています。日本の包装食品でご覧になる表示は、飲食店で出される料理には当てはまりません。そのため、食事の前のやりとりがご自身を守ります。同庁が飲食店向けに作ったチェックリストは、混入の可能性をお客様に伝え、何を食べるかの最終判断はお客様に委ねるよう求めています。
食材の一覧として伝えてください。
| 伝えること | 店に見せる日本語 | ローマ字 |
|---|---|---|
| 小麦・大麦・ライ麦 | セリアック病のため、小麦・大麦・ライ麦は少しでも食べられません。 | Seriakku‑byō no tame, komugi, ōmugi, raimugi wa sukoshi demo taberaremasen. |
| 醤油と味噌 | 醤油や味噌にも小麦が入っているので、使わないでいただけますか。 | Shōyu ya miso ni mo komugi ga haitte iru node, tsukawanaide itadakemasu ka. |
| 醤油の持ち込み | 小麦を使っていない醤油を持参してもよろしいですか。 | Komugi o tsukatte inai shōyu o jisan shite mo yoroshii desu ka. |
| 揚げ油 | 揚げ油は天ぷらと同じですか。 | Ageabura wa tenpura to onaji desu ka. |
| 麦茶 | 麦茶ではなく、お水をいただけますか。 | Mugicha de wa naku, omizu o itadakemasu ka. |
これらの文を予約時に伝え、到着したときに同じ言葉を書面で見せてください。当社では、ご自身と同席の皆さんの分について、この内容——醤油、味噌、衣、麩を含めて——を厨房向けにまとめる無料の日本語の食事カードを用意しました。
実際的な注意点をいくつか挙げます。
- 厨房が「はい」と言える形で頼んでください。 「グルテンなしで」より「醤油の代わりに塩で魚を仕上げていただけますか」のほうが、引き受けてもらいやすくなります。
- 正直な「できません」を受け入れてください。 油の共用を否定できないと言う店は、役に立つことを伝えてくれています。
- 時間に余裕を持ってください。 2〜3日前に伝えれば、コースの店には準備する余裕があります。
- 旅行中にどこまで厳密にする必要があるかは、医師に相談してください。 このガイドは食材と厨房での扱いを説明するもので、医療について述べるものではありません。
日本の飲食店が食事制限全般にどう対応しているかについては、日本のカウンター店での食事制限のガイドと、アレルギーと食事制限のための言い回しをご覧ください。豚肉とアルコールも避けている方は、ハラール・ムスリムフレンドリーな食事のガイドもご覧ください。日本のアレルギー表示の仕組みと、重いアレルギーを予約時に伝える理由は、食物アレルギーの記事にまとめています。
出発の前に
日本語で会話をしなくても、これらすべてを店に伝えたい場合は、食事カードが厨房向けに1ページにまとめます。当社が予約をお手伝いする場合は、この内容を日本語で店にお伝えします。
出典
- NHS(英国の国民保健サービス)「Coeliac disease」:グルテンに対する免疫反応であるという定義。グルテンは小麦、大麦、ライ麦に含まれる。治療はグルテンを除いた食事。ページの最終確認日 2023年3月31日。https://www.nhs.uk/conditions/coeliac‑disease/
- 農林水産省「しょうゆの日本農林規格」(JAS 1703:2020)、3.8–3.13:こいくちとうすくちは大豆とほぼ同量の小麦から作る(うすくちは小麦グルテンを加えることがある)。たまりは大豆、または大豆に少量の小麦を加えたものから作る。白は少量の大豆と小麦または小麦グルテンから作る。これらの定義は2015年の規格から変わっていない。https://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/attach/pdf/201125‑1.pdf
- 農林水産省「みその日本農林規格」(JAS 0022:2025)、3.6、3.11–3.14:麦味噌は大麦麹で作り、大麦麹は大麦またははだか麦から作る。米味噌と豆味噌もあわせて定義されている。https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index‑446.pdf
- 消費者庁、外食・中食におけるアレルゲン情報の提供の推進に関する報告書(令和5年2月):外食・中食のアレルゲン表示は義務ではなく、各事業者の任意の取り組みである。https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/advancedmodel/2022/assets/consumer_cooperation_cms201_230523_01.pdf
- 消費者庁、アレルゲン情報を提供する外食・中食事業者向けのチェックリスト:混入の可能性をお客様に伝える。何を食べられるかを決めるのはお客様。https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/efforts/assets/food_labeling_cms204_240509_05.pdf
このガイドは食材と厨房での扱いを説明するものです。医療上の助言ではありません。セリアック病については、医師の指示に従ってください。


