ミシュランが広島を調査したとき、市内に三つ星の店はただ一軒だけだった。白島という静かな一角にある十四席のカウンター。なかしま哲夫氏と夫人が営み、その価格を見て『Time Out』が世界で最も安い三つ星料理の一つと評した店である。ガイドはその後この地方を再訪していないため、星は乱されることなくそのまま残っている — それがこの店には似合っている。もとより喧騒を望んではいなかった。
供されるもの
一つのコース、市場とともに移ろう。批評家たちが何よりも取り上げる椀種の蟹真薯。秋の土瓶蒸しには松茸と鱧。春には瀬戸内の鯛。締めには無農薬の庄原の田で穫れた米を炊いた土鍋の飯。料理は江戸・大正期の漆器に盛られ、鶴と亀が描かれている — 客の長寿を願う主人の静かな思いだ。海外の客に魚を説明するため、彼はカウンターの奥に図鑑とタブレットを備えている。英語は拙いが、もてなしはそうではない。夕食は全員一斉に18:30に始まり、終わりには彼が客のタクシーを呼んでくれる。
のれんの視点
多くの旅程にとって、広島といえば平和記念公園を意味する。それでいい。だが、もう一泊する理由がここにある。西日本で最も価値ある本格会席が、原爆ドームから十分の距離にあるのだ。宮島の海に浮かぶ社まで一時間、牡蠣の季節(11月〜2月)には湾全体が一つの献立と化す。
こんな方に
広島・宮島の巡礼をする旅人で、昼に劣らぬ夜を求める方へ。そして「二度の三つ星、¥24,250、夫婦営み」という一文が、ほかのどこにも存在しないと理解している価値の探求者へ。



