玄があるのは、清酒「春鹿」を醸す今西家の別宅。ならまちの路地の突き当たりに建つ昭和初期の日本家屋で、座敷からは坪庭が見え、欄間は春日杉の一枚板、壁には東大寺の長老の掛け軸。主人の島﨑宏之氏は毎朝その日の玄蕎麦を石臼で手挽きし、つなぎを一切使わない十割蕎麦を、ほかではまず見ない細さに切ります。玄を開く前は木管楽器のリードを作る職人で、ミクロン単位の仕事に比べれば蕎麦を細く切る方が簡単かもしれない、と笑います。奈良の古刹の僧侶、ミュージシャン、歌舞伎役者が遠方から通い、食べログの「そば WEST 百名店」にも2025年に選出されています。
味わうもの
蕎麦は二種。淡い色のせいろと、殻ごと挽いて風味の深い田舎。一人前ずつ茹でるのは、十割蕎麦がすぐにのびてしまうためです。この店が考案したのが「梅たたきの水蕎麦」(¥1,600)。せいろを段階を追って、まず何もつけずに、次に藻塩で、塩と水で、最後は梅肉を溶いた水につけて味わいます。そばがき、そば豆腐、土曜のみの地鶏汁(夏季を除く)、そば雫という甘味もあり、蕎麦湯は別に麺を茹でて濃く仕上げます。夜は蕎麦遊膳一本、¥18,150(サービス料込)、個室2室で18:00から。現金のみ、小学生未満は入店できません。
予約の実際
予約は電話のみ、日本語で。0742‑27‑6868、2か月先まで受け付けます。初めての方が驚くのは、昼は席ではなく蕎麦の枚数を予約するというルールです。一日に打てるのは約40枚で、多くの日は開店前に予約で売り切れます。電話では枚数と、せいろか田舎かを聞かれ、量が多くないので一人で二枚を頼む方も少なくありません。夜は個室2室のみ、18:00の一斉スタート。2026年の口コミでは平日の昼を2日前・1週間前・3週間前に確保した例があり、土曜と夜の個室は1〜2か月前でした。接客中は電話に出られないことが多く、時間を空けてかけ直すようお店は求めています。当デスクは日本語で電話し、枚数と蕎麦の種類を伝え、サイトに掲示される臨時休業の有無も確認します。
こんな方へ
ならまちを午前中に歩く予定があり、昼食そのものを旅の目的にしたい方へ。寺の門前の観光向け定食ではなく、奈良の食通が予約してまで通う味を確かめたい方へ。



