鳥茂は、戦後の新宿・闇市に立った屋台として、鶏肉店の名を借りて豚のもつ串を売ることから始まった。1949年当時、ごくありふれた偽装だった。三代を経た今では駅南口のほど近くに自社ビルを構え、二階のカウンターは、東京の経営者やアスリート、編集者たちが商談をまとめる部屋として名高い。常連たちは、焼き台の左端にある「縁起のいい席」を半ば冗談めかして語る。タレは四分の三世紀にわたり、絶えることなくつぎ足されてきた。
味わうもの
焼きとんのおまかせが次々と繰り出される — のど、ハツ、レバーを備長炭で焼き上げ、あの年代物のタレをまとわせる。その合間に登場するのが、日本の定番料理の一つとなった当店考案の一品、ピーマン肉詰めである。初代がハンバーグ職人時代の経験から生み出したものだ。今のおまかせは和牛串やシャトーブリアン、さらには白飯にキャビアまでと、嬉々として高級路線へと流れていくが、その真髄は依然としてもつ、炭火の香り、そして甘い醤油にある。
暖簾からの一言
これは東京らしい「安い食、高い部屋」の妙なる逆説である。名目上は豚串屋でありながら、実際には星付きカウンターの多くよりも良席を確保するのが難しく、しかも現金のみときている。新宿での最初の一夜にこそふさわしい — ゴールデン街や思い出横丁は歩いてすぐの距離にあり、鳥茂は、あの路地裏の料理が七十五年の研鑽を経てどこまで到達するのかを見せてくれる。
こんな方に
星の数ではなく炭火でその街を測る食い手、そして、この席を取れたことに深く感心するであろう日本の同僚をもてなす、すべての人に。



