水炊き — 博多を代表する鶏鍋のひとつ — は、この一軒で生まれました。1905年、林田平三郎が水月を開きます。香港で西洋料理や中国料理に触れた日々をもとに、そのどちらでもない一つの鍋を考案しました。鶏がらと野菜をじっくりと炊き上げ、澄んで黄金色に輝く、やさしい出汁へと仕立てたのです。この店はこれまで一度も支店を出していません。百年を超えて、その製法をただ一つの系譜で受け継ぎ、今なお予約は昔ながらのやり方 — 電話で、しかもご来店予定のご本人からのみ — 受け付けています。
味わうもの
発祥の水炊き。鶏と野菜をあの澄んだ黄金の出汁になるまで炊き上げた、以来すべての博多の鍋がその基準としてきた一椀です。それを供するのはわずか二十五席、座敷と掘り炬燵の部屋。拡張よりも深みを選び、一族と一つのレシピを一世紀を超えて守り続けてきた一軒でのことです。
一族、一軒
支店もオンライン予約もありません。電話をかけていただき、店はお客様ご本人から直接うかがうことを大切にしています。そのこだわりは、ここにあるすべてと地続きです。ただ一筋の継承、ただ一つの住所、フランチャイズ化することなく受け継がれてきた出汁。個室は十二名から二十名までを収容し、じっくりと腰を据えていただくこの食事にふさわしい設えです。
こんな時に
博多水炊きをその発祥の地で味わいたい方、横に広がることのなかった百年の一軒を訪ねたい方、そしてご自身で電話をかけてくださる方へ。



