水炊き — 文字どおり「水で炊く」、博多を代表する鶏鍋 — は、この一軒で生まれました。1905年、香港で西洋料理と中国料理に携わった歳月を経て、林田平三郎が水月を開きます。彼が考案したのは、そのどちらでもない一つの鍋。鶏がらと野菜を、中華の鍋なら白濁して濃厚になるところを、澄んで黄金色に、静かに深く輝く出汁になるまで炊き上げたものです。この店は一度も支店を出していません。製法は百年を超えてただ一つの家系で受け継がれ、予約の流儀もまた、その間ほとんど変わっていません。
味わうもの
発祥の水炊きを、コース仕立てで。まず澄んだ黄金の出汁から、続いて卓上で炊かれる鶏と野菜へ — 以来すべての博多の鍋がその基準としてきた一椀です。供されるのはわずか二十五席。座敷と掘り炬燵のみでカウンターはなく、急かされることもありません。拡張よりも深みを選んだ一軒です。コースは税込¥6,200〜9,200(サービス料別)。一つの郷土料理の原点そのものと考えれば、慎ましい勘定です。
予約の実際
予約なしの入店はできません。座れるのは予約客のみです。そしてその予約は、当コレクションの中でも最も厳格 — 電話のみ、しかも店ははっきりと「ご予約はお客様ご本人からのみ」と定めています。オンラインの予約サイトも、ホテルのコンシェルジュも、予約代行業者も不可。仲介者からの電話は、丁重に断られます。入店は20時まで、月曜は定休(月曜が祝日の場合は火曜)、個室 — 1階は12〜16名、2階は20名まで — の当日予約は不可。当デスクが代わりに電話をかけない唯一の店です。誰にもかけられないのですから。その代わりに私たちがするのは、最新の予約方針の確認、日程と人数を織り込んだ日本語の台本づくり、そしてお客様が電話をかけるその場に付き添うこと — それこそが、この店の流儀が許している唯一の道です。
こんな時に
数ある末裔の店ではなく、発祥の地そのもので博多水炊きを味わいたい方。120年間あらゆる近道を拒んできた一軒に惹かれる方。そして、しっかり備えたうえで、ご自身の手でその一本の電話をかけられる方へ。



