中道博氏が渡仏したのは1974年、二十三歳のときだった。三年をフランスの厨房で過ごし、北の地へ帰郷する。1984年、札幌の西に広がる円山公園にほど近い一軒家にモリエールを開いた。そしてミシュランガイドの二つの北海道特別版 — 2012年版と2017年版 — は、いずれもこの店に三つ星を与えた。その上には何も存在しない、唯一の評価である。開店から四十年、店は今も一つの頑固な流儀で回っている。予約は電話のみ、オンラインでは決して受けない。
味わうもの
フランスの技術を、北海道が育て、獲るものだけに向けた料理。乳製品、小麦、ジビエ、冷たい海の魚 — 輸入に頼らずフランス料理の献立を支えきれる日本の地域は、この島をおいて他にない。名物はかすべ — ガンギエイのひれ — のムニエル(粉をはたいてバターで焼く調理法)。かつて北海道の家庭が日常的に食べ、ほとんど忘れかけていた魚だ。中道氏は地元でいちばん慎ましい魚を取り上げ、店の代名詞となる一皿に仕立てた。軟骨まで柔らかく、バターをまとい、まぎれもなくこの島のものである。その周りを、北の四季とともに移ろう昼と夜のコースが巡る。昼は夜の何分の一かの値段で開かれた、穏やかな入口だ。
予約の実際
ウェブのフォームも、予約サイトの掲載も、コンシェルジュアプリもない。予約帳とは日本語で応対される一本の電話であり、それが開くのは希望日の3か月前。実際には帳面はみるみる埋まる。地元の常連とミシュラン詣での客が予定を組んで待ち構えており、週末なら2か月前の電話でもすでに際どい。海外からとなると、札幌の営業時間に合わせ、日本語で、時間を計って国際電話をかけることになる — まさに東京のデスクが肩代わりする種類の作業だ。当デスクは窓が開いた時にかけ、席を押さえ、その日のうちに確定をお戻しする。
こんな方に
食材こそが論拠となる三つ星フランス料理を見てみたい方、そして食を軸に北海道の旅程を組み立てる方に。日取りは早めに。3か月前開帳、オンラインの逃げ道なし — モリエールは、飛行機より先に食事を決める旅人に報いる店である。



