北海道には、昔から魚がありました。二十世紀後半まで欠けていたのは、その魚を江戸前鮨に仕立てる、洗練された江戸の技です。東京の職人技が北へ渡り、さらに日本各地へ広がっていった物語は、札幌の一軒の鮨店を軸に語ることができます。その系譜をたどります。
江戸前、北へ——嶋宮と「すし善」
嶋宮勤は横浜の鮨店で3年働いたのち、「奈可田」の中田一男のもとで東京の伝統を学びました。1968年に札幌へ戻り、1971年、札幌・すすきのに「すし善」を開きます。本店は1984年に円山へ移りました。江戸の技と北海道の抜きん出た海の幸を結びつけ、北海道に江戸前鮨を根づかせた先駆者として、その名は今も語り継がれています。
江戸の技は、北の魚に何をもたらすか
この結びつきが大切なのは、北海道の食材が東京とは違うからです。利尻や積丹の雲丹、牡丹海老、北寄貝、秋のいくら、オホーツク沿岸の深紅のきんき——北海道を代表するこうした食材は、「鮮度がすべて」という考えから、生のまま手を加えずに出されるのが普通です。札幌の江戸前の店は、その逆をいきます。締める、漬ける、寝かせる、煮る——そうすることで、地元の魚がいっそうその魚らしく味わえるようにするのです。脂ののった北の魚に負けない酢飯、生のいくらではなく醤油漬け、北海道の昆布を使った白身の昆布締め——嶋宮の一門が実際に変えたのは、こうした点です。北海道名物の毛蟹(冬の風物詩で、日本の蟹シーズンガイドで取り上げています)でさえ、これらの店では茹でただけで出すのではなく、江戸前の仕事を施して出されます。
「すし善」一門
「すし善」の影響力は、ここで育った職人たちから生まれています。その職人たちはいま、札幌をはじめ日本各地で店を営んでいます。誰がどこにいて、どの店なら予約できるかは、すし善の系譜にまとめています。「鮨 銀座おのでら」は企業グループで、「すし善」の暖簾分けではありません。つながりは、2013年の開業時の初代料理長が「すし善」で修業していたことです。
この系譜を今、味わう
旅行者にとっての結論はシンプルです。世界水準の江戸前は東京だけのものではなく、しかも札幌ならかなり手頃に味わえます。市内の一流店はおおむね一人¥15,000〜30,000で、東京のトップ店で今や標準となった¥30,000〜60,000を下回ります(2026年7月時点)。予約もずっと取りやすく、必要な準備期間は数か月ではなく数週間。首都のような常連優先の壁もずっと低いのです。予約の具体的な手順は北海道の飲食店予約ガイドに、すすきのの深夜営業の店から「すし善」本店のある円山まで、街の食べ歩きは札幌の食べ歩きガイドにまとめています。冬に旅程を合わせれば、同じ店で蟹と雲丹の最盛期を味わえます。各流派のつながりの全体像は、江戸前鮨の系譜図をご覧ください。北海道へお越しの際は、リクエストフォームに日程をお寄せください。コレクションの中から、その夜にふさわしい一軒の予約を試みます——1席¥6,000、席が取れたときだけ課金します。
