沖縄の台所は、本土とは別の食材棚から始まります。耳まで使い切る豚、ゴーヤー、田芋、そして自らは育てずとも中国交易を通じて何世紀も食べ続けてきた昆布。その台所の全体像に出会える場所が「うりずん」です。沖縄が日本に復帰したまさにその年、1972年8月15日、故・土屋実幸氏によって創業されたこの店は、当時ほかの誰もしていなかったことを二つ成し遂げました。ひとつは「ドゥル天」の発明——田芋を潰して豚肉やきのこと合わせ、祝いの料理ドゥルワカシーから生まれた揚げ物で、いまや琉球の定番として島じゅうに広まりました。もうひとつが泡盛——15世紀から続く沖縄固有の蒸留酒——を蔵元一軒ずつ訪ね集め、県内47の全蔵をカウンターの奥に揃えたこと。甕で長年寝かせた「古酒(クース)」として飲む、失われかけた習慣を蘇らせたのです。
味わえるもの
島の流儀でアラカルトを。まずは発祥の地たるドゥル天、泡盛と黒糖で柔らかく炊いたラフテー、ぷちぷちと弾ける海ぶどう。琉球宮廷料理の流れを汲む一皿と、飾らない家庭料理が同じ卓に並びます。そして酒は島を横断するように——若い一杯から、丸みを帯びた古酒へと、店の人が導いてくれます。おおよそお一人3,000〜6,000円ほどに収まるのも、地元の人々が通い続ける理由のひとつです。
予約の実際
栄町市場にほど近い、軋む木造の一軒家に110席——カウンター、座敷、テーブル。毎日17時30分から深夜0時まで、年中無休。楽に思えて、そうはいきません。那覇の人々自身が、うりずんを行きつけの居間として扱っているからです。予約は日本語での電話。数日前の一本で通常は足ります——それこそが当デスクの掛ける電話であり、座敷かカウンターかのご希望、取り置きたい料理も併せてお伝えします。
こんな方へ
沖縄の食とその酒を、双方を守り抜いた店で教わりたい方へ。予約なしで並ぶ列に立つより、夜を食べることに使いたい方へ。



