松籟庵は、かつて日本の内閣総理大臣を務めた近衞文麿の別荘を構えとし、保津川を見下ろす亀山公園の中にひっそりと佇んでいます。嵐山の木立を抜けて徒歩でたどり着く、まさに真の隠れ家であり、供されるのは名高い森嘉の嵯峨豆腐を主役とした季節の豆腐懐石です。夜はご予約のお客様のみをお迎えします。
お召し上がりいただくもの
軸となるのは、食卓でゆっくりと炊き上げる湯豆腐。森嘉の嵯峨豆腐から作られ、その豆腐は舌ざわりと澄んだ味わいで名高いものです。それを取り囲むように、厨房は季節に寄り添った会席を組み立てます。野菜を主役とした、端正な料理です。ただ一つの食材に一膳を委ねる料理であり、ここではその信頼がしっかりと報われます。
この建物について
別荘の歴史は、食事の一部そのものです。畳の間は川と木立の斜面へと開かれ、間(ま)を埋めるように保津の急流の音が満ちてきます。ここへ至るには意志が要ります。道は公園を貫き、嵐山中心部の観光の流れから大きく外れているのです。そしてその労力が、この界隈ではめったに得られぬ静けさを買い取ってくれます。京都でこれほど流れる水の近くに座す部屋は、そう多くありません。
こんな時に
嵐山でゆったりとした午後を、あるいはご予約の夜を過ごすとき。華やかさよりも、人目を離れた静けさと、季節を映す静かな食事を求める方へ。



