2026年6月、ジャパンタイムズの「デスティネーション・レストラン」審査員団は、 これまで一度もなかったことをした。その年の最優秀店を全会一致で選んだのである。 選ばれたのは京都でも東京でもなかった。気仙沼(日本のサメの本場)の、 一つのテーブルを囲む8席。ロビーの壁にはいまも2011年の津波が到達した高さを 示す赤い線が刻まれた、あるホテルの中にあった。
黒森洋司は、名店・福臨門の系譜において初めて日本人料理長を務めた人物だ。 震災が彼を北へと導いた。仙台での店が10年をかけて彼の名を高め、 2025年、彼は港そのものへと移った。なぜなら、彼が言うように、 99%の人が「ふかひれ」を一つのものだと思っているが、 彼は生涯をかけて、それが幾多のものであることを証明し続けてきたからだ。
何を食べるのか
4種のサメと、ヒレの9つの異なる部位を巡る一連のコース — 胸、背、尾、 そして珍重される繊維状の帯 — それぞれをそのコラーゲンに合わせて戻し、火を入れる。 なかには広東の慣習に逆らうものもある。上のコースには、江戸期の日本がかつて 広東へと送り出したのと同じ等級の三陸産干し鮑が加わる。店は誰もが問う疑問に 真正面から向き合い、自らのサイトで英語でこう答えている。気仙沼はサメを丸ごと (身、皮、ヒレ)水揚げしており、海上でヒレだけを切り取ることはしない。 そしてどの種を供し、どのように管理しているかを明らかにしている。 彼らの説明を読み、自らの目で判断してほしい。
暖簾の視点
疑いを抱いて来ればよい。だが帰る頃には、日本で最も手厳しい評論家たちの 審査員団が、なぜ一つになって票を投じたのかを理解しているはずだ。 夜明けの魚市場(カツオの水揚げ日本一を28年連続で守り続けている)と、 津波の記憶を伝える震災遺構の学校を組み合わせれば、食の旅において 最も稀有なものが手に入る。一つの町を語り尽くす一夜の晩餐が。
どんな人が訪れるのか
フロンティアを求める食い道楽。そして、どこかへ行く最良の理由とは、 知り合いの誰一人として行ったことがないことだ、と信じる旅人たち。



