キッチン飛騨は1964年、「飛騨牛」が旅人を日本アルプス越えさせるブランドになる何年も前に、地元の牛のためのステーキハウスとして開店しました。そして今も、その牛をただ一つの方法で焼き続けています。霜降りの地元和牛を、火に当てる前に二〜四週間熟成させる。この熟成が静かな仕事をし、水分を抜いて旨みを凝縮させることで、脂は単なる濃厚さではなく深みとして立ち上がります。仕上げは開店の日から一度も変えたことのない「ブレゼ&ソテー」――蒸し煮でやわらかく火を入れてから、表面を焼き上げる手法です。2025年には、食べログのステーキ・鉄板部門で「食べログ100名店」に選ばれました。
味わうもの
飛騨牛のステーキ。焼き面の香ばしさはソテーから、しっとりした中身はブレゼから。この手法が存在するのはまさに、霜降りの強い和牛を西洋流のステーキと同じに扱うと、乾いて脂ばかりが残るからです。ランチはおよそ¥6,000から、ディナーはおよそ¥7,000から。認証を受けた飛騨牛をその地元で味わう価格として、高すぎず、むしろ穏やか。同じ等級を東京のホテルダイニングで頼めば、この何倍にもなります。
予約の現実
高山で本格を味わえる店のうち、もっとも予約しやすい一軒――ただし、この店の時計を尊重すれば。営業は昼夜の二部のみ、ランチはL.O. 14:45、ディナーはL.O. 19:45、水曜定休。予約は電話または自店のウェブフォームで、いずれも日本語です。桜、夏休み、10〜11月の紅葉というハイシーズンには、古い町並みの人出が日ごとに席を埋めていきます。日本語での同じ週の電話一本でたいてい片が付き、デスクなら朝市を歩く日に合わせて席を留めておける――旅で一度の認証飛騨牛を、行列任せにしないために。
こんな方へ
日本アルプスを巡る旅の途上で、この地の牛肉を、鉄板焼きの演出ではなく六十年の信念で焼き上げた一皿として味わいたい方へ。格子戸の商家に囲まれて腰を下ろし、その日の残りにも余裕を残せる価格で。



