食材を「仕入れる」店は多いものです。けれど片折卓也は、食材のもとへ「通い」ます。一日300キロメートル以上を走り、生まれ故郷である氷見の夜明けの魚市へ、そして能登半島の突端・珠洲の松茸の競りへと向かい、金沢・浅野川沿いに改装した町家へ戻ります。そこでは地元産の阿手材のカウンターで、八人の客が待っています。料亭・つる幸で十一年、かなざわ玉泉邸の料理長を務め、2018年、自らの名を暖簾に掲げました。そして今 — OADの日本ランキングで2025年1位・2026年2位、食べログアワード2026で六年連続のゴールド、そして国内でほとんど例を見ない食べログ4.68(2026年)という評価。
味わうもの
おまかせは一種類、約十一品。船と山がもたらすものを軸に、日々組み立て直されます。その中心にあるのが出汁です — 目の前で削る鰹節と、自ら汲んできた湧き水に四十時間浸した利尻昆布。愛好家たちがただ「命の出汁」と呼ぶ一椀です。そのまわりに、朝獲れの氷見の魚、能登の鮑、その朝の競りで競り落とした珠洲の松茸、そして初冬には、十一月の金沢を最も過酷な予約シーズンにする蟹たち(香箱と加能)が並びます。
予約の現実
八席。そしてその大半は、見知らぬ客の目に触れる前に埋まっています。片折のカレンダーは、事実上常連のものです。残ったわずかな席が予約サイト「OMAKASE」と「ポケットコンシェルジュ」に予告なく現れ、数秒で消えます。実際のところ、初めての客が入る道はひとつ——すでに常連の輪にいる誰かの隣に座ること。連れて行ってくれる、あるいは名前を貸してくれる常連からの紹介です。ネット上で「片折の予約保証」を謳う話には、疑いの目を向けてください。店自体が、誰に対しても何ひとつ保証していないのですから。当デスクでは、この店のリクエストはお受けしていません。ご自身で予約サイトに挑むなら、有利に働くのは次のようなことです。OMAKASE(予約は四半期に1回まで)とポケットコンシェルジュの両方でお気に入り登録をして空席通知を受けること、柔軟な日程、4名より2名、そして夜だけでなく昼も狙うこと——月曜から土曜の昼営業も含めれば、チャンスは週に倍になります。
待つあいだに、予算も現実的に見積もっておきましょう。蟹の季節、11月から冬にかけては、その上限に張り付き——そして予約の確率は底まで下がります。
その地を包む風景
金沢は、江戸の姿をいまに残す稀有な城下町です。東と主計町の茶屋街はカウンターから徒歩五分、兼六園と21世紀美術館で一日が満たされ、工芸(金箔、料理の下から現れる九谷焼)で土産袋が満たされます。加賀温泉や和倉温泉での一泊を組み合わせれば、北陸二日間の決定版といえる旅程になります。
どんな人が足を運ぶのか
日本料理の頂そのものを追い求める食通たち。席を奪い合う東京のカウンターが最前列だとすれば、この川辺の一室は源流 — 日本の料理人たち自身が語り合う、その部屋なのです。そして、もし席が巡ってこなくても。料亭・銭屋は主要プラットフォームで数週間先の予約を受け付けており、金澤 せつ理——片折自身が修業した、今は無きつる幸の二代目料理長が開いた店——は、実際に予約できるカウンターで同じ加賀の系譜を受け継いでいます。どちらも、決して妥協の選択肢ではありません。



