おでん — 野菜や練り物、串に刺した具を共同の鍋の出汁で何時間も煮込む、日本の冬の定番 — には、金沢に独自の流儀があり、赤玉は1927年からその流儀を守ってきた。東京の鍋が醤油で色濃く傾くのに対し、この出汁は昆布と煮干しから引かれ、醤油をいっさい使わない。だからあくまで淡く澄み、種の一つひとつが自らの味で立つ。店は昼から午後を通して夜まで開いている — 寒い日の午後三時に開いている金沢の本格的な台所は数少なく、その一つがここだ。
味わうもの
淡い出汁で煮込まれた種の数々。出汁をスポンジのように吸い込む麩の輪で、金沢おでんを象徴する「車麩」。うずらの卵を忍ばせた練り物で、店の名を冠した「赤玉」。そして鍋の定番の顔ぶれ。冬の主役は「かに面」— 小さな雌のズワイガニ、香箱蟹の身と内子外子をほぐして甲羅に詰め戻し、丸ごと出汁に据えた一品だ。これを支える漁は11月6日に解禁され12月29日に終わる。つまりこの料理は年におよそ七週間しか存在せず、¥2,500、一日の数にも限りがある。
予約の実際
根っこはウォークインの店だ — 片町の繁華街にあるカウンターとテーブル、支払いは現金のみ、冬の夜には行列ができる。だが本当に予約すべきは席ではない。店は毎年秋、かに面の提供開始を自らのサイトで告知し、蟹の事前予約を受け付ける。そして例年、売り切れる。11月の解禁に合わせ、席とかに面を一本の日本語の電話でまとめて押さえること — それがこの料理を「食べる」か「読むだけ」かの分かれ目であり、当デスクがかける電話は、まさにそれだ。
こんな方へ
金沢に一夜を過ごす旅行者へ。庭園や金箔工房が店じまいをした後、片町の路地の近くで、あらたまった夕食よりも温かな地元のカウンターを求める方に。そして11月6日から12月末までなら、この土地の季節を定義する蟹を。



