街の規模を考えれば、日本でこれほどおいしいものが揃う街はほかにありません。東京から新幹線で2時間半、 江戸時代の城下町の姿をとどめ、OADが2025年に国内第1位に選んだ料理店、300年の歴史を持つ市場、 そして毎冬、東京の食通まで呼び寄せる蟹があります。ここでは、私たちが実際にゲストのために 組み立てている旅程を、一時間単位でご紹介します。
1日目 — 古都をめぐる
午前。 日本三名園のひとつ兼六園は、夜明けとともに無料で門を開きます(盛夏は午前4時から、 有料時間が始まる前まで) — 無料で、しかも園内が最も静かなひととき。まずは早朝に庭を歩き、 隣接する金沢城公園へと足を運び、それから近江町市場へ下ります。300年の歴史、170の店。 ここでの朝食は、その朝の水揚げを山と盛った海鮮丼。市場のリズムにご留意を — 多くの店は水曜に休み、 昼下がりには店じまいを始めます。
午後。 ひがし茶屋街の芸妓文化へ。1820年創建、国の重要文化財として保存される茶屋 志摩(¥500)に足を踏み入れ、その庭に面した座敷で抹茶をいただきます(2026年7月時点)。そして「一見さんお断り」が 実際に何を守っているのかを知りたければ、懐華樓をのぞいてみてください。金箔を敷き詰めた座敷は 日中は一般公開されますが、夜の宴は今なお紹介制のまま。芸妓を伴う夜の宴は、 私たちがご依頼をお受けできるものではありません。金箔は金沢のもうひとつの技 — 日本の金箔の99%が ここで打たれ、45分の工房体験で、あなただけの金箔を施した箸が手に入ります。
夜。 本日の主役です。金沢のカウンターは、席数あたりで見れば西日本でも屈指の予約困難店ぞろいです。片折 (OADで2025年に日本一、2026年は2位)は常連と紹介のお客様が中心で、ネットに出るわずかな空席も数秒で埋まります。握り寿司の90代の伝説 小松弥助は毎月1日に3か月先の分を電話で受け付け、初めての方には来店経験のある方のお名前を尋ねます。まさにこうした場面こそ、 私たちのデスクが存在する理由です。ご自身で予約されたい方には、茶屋街にある鮨 みつ川が 英語でも使えるTableCheckで1か月前からオンライン予約を受け付けており、実力も申し分ありません。
2日目 — 酒、土、そして海
午前。 まずは金沢最古の酒蔵福光屋(1625年創業)でプレミアム試飲コースを。 あるいは南へ車を走らせ、小松にある農口尚彦研究所の四畳半の試飲室を予約するのもよいでしょう。 「酒造りの神様」と呼ばれる杜氏の名を冠した酒蔵で、試飲(一日三回、各回八名まで)は TableCheckまたは電話で予約できます。
午後。 九谷焼 — 前夜、あなたがそこから料理を口にしたであろう、上絵付けの五彩の器です。 町なかの光仙窯で自ら絵付けをするもよし、能美にある隈研吾設計の陶磁工房CERABO KUTANIまで 足を延ばすもよし。締めくくりは、兼六園のそばに戻って金沢21世紀美術館へ。
夜。 二軒目のカウンター、あるいは旅路へ。加賀温泉の名旅館 — べにや無何有 (ルレ・エ・シャトー、全室に露天風呂付き)や、アートに満ちたあらや滔々庵 — は 新幹線で25分。旅を本格的な北陸周遊へと変えてくれます。(能登半島・和倉温泉の名旅館、加賀屋は 2024年1月の地震以来休業しており、2026年9月時点では新館の再開は2028年度末の予定です。今回は加賀温泉をおすすめします。)
いつ訪れるべきか
11月6日から12月29日 — 予約はすべて数か月前に済ませてください。これが香箱の季節です。 愛される雌のズワイガニを、卵も含めて丸ごと味わえる短い期間で、金沢の食が絶頂を迎える時。 雄の加能ガニは3月まで。それ以外なら、春はホタルイカと城の堀端の桜、秋は珠洲の松茸を。
現実的な行き方
東京→金沢は新幹線一本、約2時間半。大阪からは乗り換え一回で約2時間20分。市内は周遊バスが 一日¥800ですべてをカバーします。難関はカウンターだけ — 予約解禁日の争奪戦、日本語のみの電話、 常連客が優先される座敷。ご希望の日程と、どの夜が最も大切かをお聞かせください。あとは私たちが その一夜を軸に組み立てます。夕食を第一に — 美食の旅程とは、そう組み立てられるべきものですから。



