地域と旅程 · 2026-07-17

東北 — 日本、最後の秘境的美食地帯

文責 SHOKU NOREN Team · 事実確認 July 2026 · 確認方法

東北 — 日本、最後の秘境的美食地帯

食を求める旅人は、誰もが東京、京都、大阪を訪れる。北へ足を延ばす者は、ほとんどいない。だからこそ北には、ゴールデンルートが失ってしまったものが今も残っている。電話でしか予約できない一組限りの宿、実りの地でそのまま供される収穫の料理、そして町そのものを支える料理店。東北は、日本のどこよりも綿密な計画を求める土地であり(まさにそのために私たちのデスクがある)、費やした一時間ごとに、余りある返礼をくれる。

第一区間 — 遠野:発酵をめぐる巡礼

新幹線で新花巻へ、そこから一両編成のローカル線で山あいへと分け入る。民話のふるさと遠野。ここにとおの屋 要(当社のプロフィール参照)がある。築二百年の米蔵で一夜一組だけを迎えるこの宿では、佐々木要太郎氏が自ら米を育て、あの Mugaritz で注がれるどぶろくを醸し、彼が「時間そのものを食べる」と呼ぶ料理を作る。席は二ヶ月前に開き、そして消えていく。この予約こそが旅の要石であり、私たちはまずこれを押さえ、その日付を軸に他のすべてを組み立てていく。

第二区間 — 気仙沼:すべてを勝ち取った港

東へ二時間、日本一のサメの水揚げを誇る町。そして2026年より、Destination Restaurant of the Year に輝いた KUROMORI(当社のプロフィール参照)の地となった。港を見下ろす八席で供されるのは、フカヒレ料理。その港の夜明けの魚市場は、鰹の水揚げで28年連続日本一に立ち続けている。唐桑の牡蠣の筏(10月〜5月)と、旧高校に遺された津波の記憶を伝える慰霊の場を加えれば、ここでの一夕は、町の物語まるごととともに味わうことになる。

第三区間 — 庄内:ユネスコ食文化都市

日本海側へと渡る(優雅な道筋は、いったん東京へ戻り、一時間の空路で庄内へ)。二泊の拠点は、坂茂による木造建築が水田に浮かぶホテルスイデンテラス。そこから足を運ぶのは、奥田政行氏が六十種の在来野菜の上に築き上げたイタリア料理の店アル・ケッチァーノ(当社のプロフィール参照)。満月の夜は、月の光そのものが灯りとなる。そして羽黒山で過ごす一日。2,446段の石段、国宝の五重塔、そして予約制の宿坊「斎館」でいただく巡礼の精進料理。ここでは山の恵みが、信仰の行として調理される。

訪れる季節

二つの季節、二つの旅。(9月〜11月)は実りの季節。松茸、戻り鰹、そして黄金に染まる稲穂。厳冬は、雪国のどぶろく、鱈鍋、牡蠣の季節。より寒く、より厳しく、より忘れがたい。夏もあらゆる面で申し分ない。どのみち出会うことのない人混みを、なおさら気にせずにすむ。

現実的な、たどり着き方

東北の内陸と沿岸を結ぶ列車は、遅く、そして本数も乏しい。遠野と庄内の二区間は、正気の一日で陸路をつなぐことはできない。プロとしての答えは、上に記したとおり。二つの区間を東京から伸びる二本のスポークとして扱い、沿岸では車と運転手を手配する。旗艦となる食の総額は、宿泊を含めて一人あたりおよそ¥130,000。ここに挙げたもので、英語で予約できるものは、幸運に恵まれない限り何ひとつない。だがそのすべてを、私たちなら予約できる。

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